Mac Pro とは何なのか 第二回「アップルの迷い」

もう存在しなかったように扱われているが、Mac Proの伏線となった「PowerMac G5」と「Xserve G5」は、商業的には成功していたようでトータルで9モデル。2003~2006年の間に平均、年2モデルのペースで出荷されている。

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ただ、出荷のロットは少なく「Mac Pro」のように、シンボリックに売れる存在ではなかったイメージがある(個人的にボンダイブルーのデブを買い換えたいため、「G5」購入ローンを三度申し込んだが、幸か不幸か却下された)。

「G5」の成功は「サーバー」と「クライアント」という最後の古典的関係が成立していた時代背景が大きいだろう。(MacOS 10.5 Serverは、500~1000ドルという価格帯である。ちなみに(Marveric 3.0サーバーは30ドル)

国内では「トマト銀行」がネットブートで端末をiMacで使用したニュースを鮮明に覚えている。「WindowsNT」の土壌に「銀行」が割り込むケースは印象的だった。それよりインパクトの強かったのはハリウッドでのDVDメディアの出現よる「デジタルリマスター」のために、壁一面100台はあろうか「G5」マシンの積み上がった写真だった。担当者は「オズの魔法使い」に取り込み中と語っており、生まれて初めてMacが「メインフレーム」をやっている現場だった(註1)。

「サーバー」とはそれ自体で何か個別の作業をするわけではなく、「クライアント」のニーズによりタスクを援助するマシンのことだ。「クライアント」とは「端末」とも呼ばれ、個別処理を「サーバー」に作業(タスク)を投げ出す非力なコンピューターという意味だ。

なぜ「古典的」という言い方になるかと云えば、これはクライアントに力が無く、計算を高価な「サーバー」に委託していた時代のなごりだからだ。しかし「G4」や「G5」は、既にスタンドアローンで仕事の出来るパワーを持っていたため、演算の投げだしをする必要はなかった。しかし「サーバ」の用途はストレージの管理(ファイルサーバー)、クライアントのバックアップ、FireWallなど多種に亘る。

現代でリアリティをもつ「サーバー」はLAN上の並列処理、特に自社用WEBやFTPは現代の「サーバー」利用としてはメインになるだろう。

アップルは「Mac Pro」投入に際し、2つのマーケットを想定した。一つは「サーバー」用途、もう一つは「ワークステーション」用途。

これは「G5」ユーザーに法人が多かったことからも、またアップルがチョイスしたグラフィック・カードのラインナップから想定される。

MacProの2006/07モデル(註2)には「NVIDIA Geforce 7300GT」がベースとなっており、上位にとして「ATI Radeon X1900 XT」を、そして「NVIDIA Quadro FX 4500」が60万円というとんでもないオプション価格で用意された。その後ひっそりと「NVIDIA GeForce 8800 GT」が単体で6万円で発売されている。

MacProの2008(註3)モデルは混乱が多いのだがは、筐体は2006/7を流用しておりパーツナンバーも同じで、内部のみ挿げ替えている。これには「ATI HD2600 XT」「8800 GT」、そして「Quadro FX 5600」がまた、45万円というとんでもないオプション価格で用意された。

このアップルの準備したラインナップはグラフィックサイドから見ると「7300GT」「HD2600 XT」というサーバー向けの処理能力の低いものと、「Quadroシリーズ」というワークステーション向けの高度な処理能力を持ったものに、両特化しているのがはっきりと分かる。アップルは「サーバー」と「ワークステーション」の二極のユーザーに対する戦略をとっていたが、価格差を見れば自社の製品の行方が分からず「迷っている」とも受け止められた。

ここにアップルの思惑以上に市場を見抜いた製品が登場する。「EVGA GeForce GTX285 MacEdition」である。「8800 GT」あたりから、「NVIDIA」はMacProが「サーバー」でも「ワークステーション」でもなく、個人のホビーユースとしての「パソコン」として売れていることに目を付け、Mac OS自体にはその機能のない高度な機能を積んだグラフィック・カードをアップル内部からも外部からも突き上げるように売り込み始めた。

この時期NVIDIAは伸び盛りで、アップルのマーケティングの調和を乱し始め、結果としてアップル純正品としても、他のMacを含め、ほぼ完全に閉め出されることになる。

HardMacの記事より

このキーワードとなるのがNVIDIAの「CUDA」技術で、「GPU(グラフィック・プロセッサー・ユニット)」という言葉を生み出した。「ATI(AMD)」「NVIDIA」、そして後発の「インテル」が三社三様のGPUを主張し合い、MacOSとしてもこれらを何とか統合する必要があった。

それが「OpenCL」技術であり、黒MacProの製品化とも密接に関係する技術となった。

(註1)以前のドラマのブログで「Promotional Considerration Furnished by APPLE」を直訳して「販売促進用に考えられた備え付け」、即ち「小道具」なのだが・・・と書いたことがある。これが意外と深い意味があり、スポンサーが小道具として「アップル製品」を使用するからといって、それを使用している出演者が、それを指示・志向しているとは限らないというという、役者の自主性を重んじるという意味が含まれていることが分かった。大抵悪役は「BlackBerry」のような「ごつい」携帯を使っており、主人公達はアップルを使っているというシチュエーションが多い。しかしそれは役者の選択ではなく、あくまで「アップルの販促物を利用しています」という、如何にも人権を重んじるアメリカらしい取り組みだ。

さて、幾つか上げた業務用に仕掛けられた大きなサーバーも、必ずしも顧客ののニーズではなく「Promotional Considerration Furnished by APPLE」である可能性は十分にあり得ることは、頭の片隅に入れておくべきだろう。

(註2)2006/2007を台湾のメーカーに委託したように記述したが、その出来の悪さからするとこれらのモデルはハードウェア設計の下手な「カリフォルニアデザイン」下で設計された可能性も考えられる。PCIの速度をソフトウェアで制御したり、メモリのエアフローが十分でなく発熱により不安定になるなど、スカリー時代から続く難問を少しも解決していない。

(註3)2008は急遽準備したのか品質にばらつきが多い。FSBという若干古いアーキテクチャーであるけれども、安定して動くマシンも多い。

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