Mac Pro とは何なのか 第一回「Xeonの魔力」

黒Mac Proの宣伝に「軍事用性能を上回る」という触れ込みが盛んだ。思い出すのは「PowerPC G4」の「Verocity Engin」が軍事用コンピューターの浮動小数点計算能力を上回り、政府から一時出荷停止をくらったという宣伝を思い出す。

Mac ProのCPU「Xeonプロセッサー」は最も自作パソコンブームで用いられたCPU、「Pentiumシリーズ」の中で、特に「HyperThred技術」を成功させた「Pentium 4」の最後のひとつの進化型だ。「ハイパースレッド」とは、ひとつのCPUを擬似的に2つに置き換える「マルチタスク」技術のことだ。

今でこそCDをリッピングしながらメールも書けるが、その技術の先駆けとなったのだが、一般に普及したのは、「Core 2 Duo」「Core 2 Quad」と呼ばれる、実際にひとつのCPUに2つ、または4つのCPU機能を載せた(コアと呼ぶ)、ものだった。理由は安定性と発熱量の低さ、性能的には変動タスクへの対応の高さだった。

この「Core 2 Duo」「Core 2 Quad」が進化したものが、「i5」と呼ばれ、今年はコアを6個積んだものが既に出荷されている。

これに「ハイパースレッド」技術を応用し、コアを二倍にしたものが「i7」と呼ばれている。

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Windowsには「デバイスマネージャー」という、どんな機材が積まれているか一覧できるところがあるが、実際は1つのCPUなのに、12個の図柄が並んでいるのは壮観だ。

「Xeonプロセッサー」は、この「i7」のひな形として「Mac Pro」以外では、「サーバー」「ワークステーション(註1)」「ワークステーションサーバー(註2)」に使用されている。現在「Pentiumシリーズ」は廉価ながら高性能なCPUとして出回っている。その後を「Xeon」が引き継いだ形になっている。

現在の「Xeonシリーズ」は「インテル(註3)」のラインナップでは最大限のコアを持ちそれをダブらせる「ハイパースレッド」技術により、最高速であることは間違いない。

「Xeon」は「Xeon MP」と呼ばれ、マザーボードの設計により、複数個積載することが可能だ。

さて少し話題を変えるよう。

マックを含め、世界中のマザーボードの設計、工場ラインを引く技術を持っているのは台湾の「ギガバイト」「アスース・テック」という二社だ(註4)。これらは他社へのOEM供給の他に、年間大量の自作用の一般向けにやさしいマニュアルの付いたマザーボードを恐らく年間、百種類以上販売している。数が多すぎて日本では、その10分の1程度しか手に入らない。

自作で現状の「MacPro」以上の「Hacintosh」が作れるとあって、ある友人は最新の「Xeon」対応マザーを探しまくったが結果は0だった。「EVGA」社が出していることを知ると、ネットで輸入したという(希少なのでべらぼうに高い)。今は「オーバークロック」を楽しんでいるという(註5)。

「Xeonプロセッサー」は、旧「Pentiumシリーズ」からフラッグシップとして引き継いできた幾つかの特徴がある。ひとつはCPU自体の想像を絶する消費電力、もうひとつは膨大な発熱量である以下の式を覚えておくと便利だろう

CPUの消費電力+発熱を抑える電力=TDP(Thermal Design Power) (単位はW、計測時間は1時間)

日本語では「最大消費電力」と書かれることが多いが、高熱チップを押さえ込むための排熱電力が膨大なものに対して「TDP」を使うようになった。

即ち「Xeon」はインテルのフラッグシップで、IT企業やプロバイダーなどニーズは多い。一方、発熱量が半端ではないため巨大な水冷機構が使われることも多い。

私は趣味の一環として、DVDオーサリングのため、初代Mac Proで「After Effects」を使用し、「リサイズ」「インターレース除去」「ノイズ除去」「逆プルダウン」など重い作業で2週間のレンダリングを行った

驚いたのは翌月届いたの電気料金だった! 通常2万円弱の我が家の平均額に請求が8万円!、約6万円プラスになっていた。

コンピューターの分野で用いられる「業務用」という言葉は別の機会に記述するが、それでも「Xeonプロセッサー」は必要とされてきた。

一つの例として過剰な負荷や、停電などでCPUに過剰な負担が掛かり、コアが2ー3個飛んでも「Xeon」はブートする。

そこまで強靱なものなので、「業務用」として表に出ることが少なく、ロットも少なかったCPUに大量の発注をかけ、インテルを大喜びさせたのが「アップル・コンピューター」だった。

ちなみに「Xeon」の性能は、早くて1年、遅くとも2年で「i7」が並ぶ。

(註1)ワークステーションという言葉を使うのは恥ずかしい、既に死語だが「ばりばりにマルチメディア的に使い込むコンピューター」という表現で、「パソコン」と異なる言葉が見つからない・・・「マルチメディア」もダサいなぁ

(註2)ワークステーションサーバーって私の都合の良い造語かも知れないが「サーバーVS,クライアント端末」という図式が古すぎるので、サーバー級の力を持っているが、もっと力のあるコンピューターの力を借りているコンピューターと云うところか?

(註3)CPUメーカーで「インテル」が一流で、他は二流だと思わせたのはアップルの功績だろう、F1で優勝できないフェラーリが「AMD」というところか。

(註4)マザーボードが面白いのは、四角い世界を互いに関係の無い会社の製品が入り乱れているところだ。数十の会社製品をアッセンブル出来る会社は、台湾にしかない。

(註5)昔はクロックの低いものから高いものへ値段が数倍上がったが、最近は最高性能(クロック)の金額が同じシリーズで平均化されている。TDPの重要さが認知されてきて「速さ」の概念が変わってきているようだ。それからサーバー用CPUはクロックを下げこそすれ、上げるという発想があることが驚きだった。

2 件のコメント

  • 今回、重要なご指摘を頂きましたので、お返事を致します。

    >TDPはCPUの発する最大放熱量のことを指しており、発熱を抑える電力は含まれておりません。
    >TDPを計算する式自体がIntelから公開されていなかったと記憶しております。
    「TDP」とはインテルの相棒、つまり日本の「山洋電気」のリテールファンを38℃の環境で、負荷をMAXにかけた際のCPU+ファンの電力です。CPUをボックスで買うとリテイルクーラーという日本国産のCPUクーラーが付属して来ます。パナソニックの傘下の「三洋電機」と分けるため「やまようでんき」と呼ばれている、板橋区にある世界的大メーカーです。
    >単位時間あたりを示す場合、Whと表記すべきで、Wを計測時間は通常一時間と説明するのは少々乱暴かなと。
    コーヒーメーカーなどの[W]の説明と一緒にして分かり易く書いたらこうなりました。テクニカルな文章では[VA]が流行ですね。
    >私の記憶が正しければ、Xeonはコンシューマ向けCPUの上位モデルをベースに設計されていると思います。もちろん上位CPUには旧Pentiumシリーズも含まれますが、昨今ではCore i7シリーズ、かつてそのポストにあったCore2シリーズも含まれます。
    まず「コンシューマー」の日本語訳は「消費者」ですが、英語で書く場合、普通の人の財布で買える金額の製品という意味になります。個人で買えるコンピューターを「パソコン」と呼びますが、これが「コンシューマー」レベルになります。
    一方で、この性能を発揮するのは人なので英語にも「購入者」的ニュアンスが強いせいか、スティーブ・ジョブズは「プロシューマー」という造語をユーザーに与えました。
    さて本題に戻りますが「Xeonプロセッサー」は「Xeon MP」と記述するのが正しいらしく、複数個のCPUを積むラインナップして「業務用ライン」として存在していました。私が「Pentium」の後継と書いたのは、CPUとして初めて「ハイパースレッド技術」を成功させたのが「Pentium4」の最後の1モデルで、その段階ではコアを複数載せる技術はなかったからです。
    「コンシューマー」の話に戻りますが、「黒MacPro」の「FirePro」は明らかに「業務用価格」でした。だいたい50万円位からだったと思います。今回量産が始まり二本の大安売りで付録みたいな値段になりましたが、これは「コンシューマー」ですか「業務用」ですか?
    「コンシューマー向け」という言葉は「プロ向け」を売るため、あいまいな「広告用語」であることを十分に認識しておく必要があると思います。
    >そのときのコンシューマ向けCPUのフラッグシップを基にして、Xeonは設計されていることを示してほしかったなと思います。
    私がDELLやHP、RENOVOなどインテルやAMDと直結している会社の話題であれば、その通りだと思います。
    しかし、ことアップルに関しては、どうケースのカーブを削るだの、背面のリンゴのLEDに光を通過させるだの、キーボードの下にLEDを入れるだのして、見た目の設計、ラインの遅れで、常に新製品が他社の一世代、二世代遅れているのが現状ではないでしょうか?

  • はじめまして、いつも楽しく拝見しております。
    記事内のいくつかの表記が気になったのでコメントさせていただきます。
    Verocity Engin → Velocity Engine
    HyperThred → Hyper Thread(Intelの表記に則りますとHyper Threading Technology)
    Core2Quado → Core 2 Quad
    After Effect → AfterEffects
    ※もし意図的な記載(コピペ防止など)であれば失礼いたしました。
    また今回の主題となるXeonの説明について
    "「Xeonプロセッサー」は、旧「Pentiumシリーズ」からフラッグシップとして引き継いできた幾つかの特徴がある。"
    と本文中にありますが、私の記憶が正しければ、Xeonはコンシューマ向けCPUの上位モデルをベースに設計されていると思います。
    もちろんコンシューマ向け上位CPUには旧Pentiumシリーズも含まれますが、昨今ではCore i7シリーズ、かつてそのポストにあったCore2シリーズも含まれます。
    TDPに非常に大きく影響のある製造プロセスの微細化も、コンシューマ向けCPUを先に新プロセスで製造し、それから遅れてXeonを新プロセスで製造していると記憶しております。
    ですので、全く同時期に同等性能のXeonとCore i7などコンシューマ向けCPUを比較した場合は、コンシューマ向けCPUの方がTDPが低くなるのは当然かと。
    同等プロセスで双方製造された場合、TDPについてはそう大きく差が開かないと思います。
    そして、TDPの式に関して不正確ではないでしょうか。
    TDPはCPUの発する最大放熱量のことを指しており、発熱を抑える電力は含まれておりません。
    TDPは熱量、つまり熱エネルギーのことを指しているため、TDPの値を指標にしてCPUクーラーの設計または選択を行うものと思います。
    ですので、発熱量を抑える電力、つまりCPUクーラーの消費電力はTDPには含まれないはずです。
    もちろんTDPの値はCPUの最大消費電力と関係しておりますが、放熱量とは完全にはイコールの関係でないのと、TDPを計算する式自体がIntelから公開されていなかったと記憶しております。
    よって、本文中のTDP式に「CPUの消費電力」を記載するのは難しいのではないかと思います。
    さらに細かいことになりますが、"単位はW、計測時間は通常一時間"という説明も危ういと思います。
    単位時間あたりを示す場合、Whと表記すべきで、Wを計測時間は通常一時間と説明するのは少々乱暴かなと。
    最後に、記事中の表記ではPentiumの技術だけが引き継がれ、闇雲に消費電力が高いというような印象を受けました。
    今後の記事でCore i7系譜など触れるのかなとは思いますが、その場合はXeonの世代を限定しなければ少々ミスリードしてしまうように思います。
    そのときのコンシューマ向けCPUのフラッグシップを基にして、Xeonは設計されていることを示してほしかったなと思います。
    長々なってしまいましたが、今回の記事は普段の的確な指摘の内容から外れているように思い、コメントいたしました。
    また次の記事を楽しみにしております。

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