Mac Pro とは何なのか 最六回 変わりゆくアップルの役割

アップルの「PR戦略」に踊らされている「奴隷メディア」は無視して、

アップルのサイトでの「Mac Pro 2013」を見てみよう。

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数年前までは、曲がりなりにもアップルはベンチマークに比較条件を明確にしていた。しかし、それがBootCamp(Windows)環境のデータであるなど、虚構が明らかになるにつれ別の戦略を用い始めた。

それは、オレンジ色で記載されている「基準値」というものだ。

ベースになる「基準値」が明らかにされていない以上、これらのグラフは全く無意味である。基準値の「1.0倍」に置かれた「なにかしらのマック」は、グラフ作成上都合の良い「性能の低い」ものが選ばれたのだろう。「DaVinch Resolve 10」も、実行できるというフォローをいれたかったのだろうが、前回述べたように、Mac Pro 2013ではまともに実行できないのは、明らかで「基準値」の選択には悩んだことだろう。何故ならMac Pro 2012年モデル以前の「CUDA環境」で、このグラフ以上のパフォーマンスは発揮できていたのだから。

さて、アップルの新天地をかけて「Final Cut Pro X」は「4K」ビデオの編集のために「Mac Pro 2013」用に全面的にソースを書き直したという。このプレゼンテーションは様々なところで披露され、私自身、店頭でのデモンストレーションには驚かされるところがあった。というのも「ドット・バイ・ドット」表示で「4096×2160ピクセル」というモニターのデカさに「HD」の四倍のデータを扱えるというのはビジュアル的にも性能的にも驚かざるを得なかった。アップル発の「GPUアクセラレーション=OpenCL」に最適化させた「FirePro」が生んだ「集大成」と云えよう。

今回のプロモーションは「Mac OS」に於ける「OpenCL」コードに最適化されたハードウェア「FirePro」を前提として書かれた、ひとつの「ソフトウェア」が目新しかっただけのことで、これが「セッティングされた条件下に於ける快適さ」ということである。

だがちょっと待ったである。そもそも「4K」カメラが出そろっておらず、放送はHDで行わている昨今、「4K」を扱うにはカメラ、ストレージに莫大な投資が必要である。「映画製作」「イベント製作」に携わる一部の限られたプロフェッショナルなユーザーには、たかが「編集ソフト」が「暴走した」ところで、様々なコンテンツを集合させるソリューションにはほど遠い。

新たな「Final Cut Pro X」の戦略は、「Final Cut Pro 7」を手放さないユーザー、または「Premiere」「Media Comporser」に移行を考えているユーザーの奪回である。

思いだして頂きたい。

つい数年前までWindowsは事務処理マシン、Macはマルチメディア用途のマシンという明確な区切りがあった。それはアップルのコンピューターが「デジタルオーディオ」編集、「QuickTime」など画期的な提唱を行い、それらを生かすソフトウェアが存在していたからだ。Mac OS9.2以前のユーザーも、フリーズするMacに目をつぶって、アップル・コンピューターの「未来の夢」に自分の希望を重ねてきたと思う。

しかし「OS X」移行、転々と変化するアップルの方針に付いていけず、多くのハードウェアメーカーやソフトウェアメーカーは次々と吸収合併、又は倒産に追い込まれていった。それでもアップル・コンピューターの提唱するポテンシャルはユーザーを引き留め続けた。

世の中が実用的なものを求め初め、真っ先にマックがこの分野でマックらしさを発揮するべくは「4K」編集にぶっ飛ぶ前に、「DVD」や「ブルーレイ」のオーサリングだったと思う。

「Final Cut Pro X」しか優位性が持てないのは、裏返せば「アップルのコンピューターは映像の編集分野の一部しか担えない」ということだ。

こういう「アップルの役目」を果たせなかったのは、自社の利益のみ追求しコンピューター事業にに新たな展望を見いだせなくなり、ソフトベンダーとユーザーから見放された「空気の読めなくなった」企業の末路であると私は考えている。「Mac Pro 2013」で「Final Cut Pro X」を必要以上に大きく評価せざるを得なかったのは、なんとか「映像のマック」として、その地位を復帰させたいという願いもあったに違いない。

「黒Mac Pro」の登場は、明らかに「旧Mac Pro」の切り捨て戦略である。安易なコンセプトの切り替えでマーケットを入れ替えようとする戦略は恐らく失敗に終わるだろう。

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