Mac Pro とは何なのか 第五回 メジャーなソフトの「Mac Pro 2013」対応状況

「OpenCL」の定義は難しくアップルが提唱した「Open Computer Language」に端を発し、極めて広い分野で応用されている。広義の「OpenCL」に関しては「ウィキペディア」に解説を委ねる。

私が記述する「OpenCL」は「Mac OS X」での狭義の意味で使用する。

「Graphics Processing Unit」の略称である「GPU」は、文字通りPCやワークステーションにおいて画像処理を担当する主要な部品の一つで、高速のVRAM(ビデオメモリ;グラフィックボード上のGPU専用メモリ)と接続され、グラフィクス処理に特化したプロセッサが多く集まった構造を持っている。一つ一つのプロセッサの構造は単純なためその機能はCPUに比べて性格が異なり大量のデータを複数のプロセッサで同時かつ並列処理を行うことを得意とする

GPU開発企業としてはNVIDIA、AMD/ATI、インテル、などが挙げられるが、現在のGPU市場は主にNVIDIA社とAMD社の二社によるほぼ寡占的なものとなっている。

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かつて「CPU(Central Processing Unit)」はコンピューターの演算を行う中心的な役割だったが(なんといっても訳せば「中央演算装置」なのだから)、アプリケーションのコード内部に「GPU」の実行命令が効果的に置かれるようになったため、最近のソフトウェアは「CPU」が行う役割が極めて少なく軽くなってきている。

特にプロ向けの大きな処理を必要とするアプリケーションは、シーケンシャルな部分を「CPU」で、並列演算部分を「GPU」に割り振り分散して計算させることで、圧倒的に高速にタスクをこなせるようになった。これが「GPUコンピューティング」というもので、広い分野で採用され「ヘテロジニアス」環境と呼ばれている(いわばコンピューターの異種格闘技戦ならぬ、異種混合協調環境というところか)。

「NVIDIA」と「AMD」を自社のコンピューターに採用していたアップルは、どちらの「GPU」を使用してもアプリケーションを加速させることの可能な「OpenCL」実行コードの発案、及び、開発のバックアップ、そして実行環境を「Mac OS X」内部に納めた。これによりメーカーにバラツキのあるグラフィックの分野での、ハードウェア・アクセラレーションを平等な環境に置こうとしたわけであるが、そう簡単にことは運ばなかった

NVIDIA社は当初から「CUDA(クーダ)」という開発から実行にいたる統合環境を提供してきたため、アプリケーションを加速化させるプログラミングコードとして圧倒的なシェアを持っている。勿論ゲーム開発にも多様されているが、「CUDA」は「CAD・CG製作」など業務用アプリにも多用されている。

ソフトウェアベンダーもNVIDIAのカードを指名するケースが増え、例えば「Mac OS X」では「アドビ・クリエイティブ・クラウド」の「Premiere」「AfterEffects」が以下のカードを推奨している(一部はノートや一体型デスクトップ内蔵)。

ATI/AMDが一つも含まれていないのが良く分かると思う。

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GeForce GTX 285
GeForce GTX 675MX
GeForce GTX 680
GeForce GTX 680MX
GeForce GT 650M
GeForce GT 750M
Quadro CX
Quadro FX 4800
Quadro 4000
Quadro K5000

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一方、NVIDIA「CUDA」ソリューションに遅れをとったATI(買収により「AMD」と呼称が変わった)は、アプリケーションを加速化させるプログラミングコードとして「ATI tool Kit」等を準備するが、プログラマーに対し統合したソリューションを提供できず、ゲームアプリケーション以外での評価は低く、私の知る限り、CAD、3Dなど画像処理や編集アプリケーションの分野で、「AMD」を先頭に上げるソフトウェアは見たことがない。

インターネットでPC用の高機能なグラフィックボードのウィンドショッピングをするのが好きな私ですが、「FirePro」を時々見かけることがるが、「Quadro」が必ず在庫を置いているにも関わらず、「FirePro」は入荷未定、あるいは受注生産となっていた。

世の中(特にIT業界)には、事実上存在していない規格や、現物のない製品が売りに出されている場合が多分にある。一種の「見栄を切り、ステイタスを維持する」企業戦略だが、ズバリAMDは自社の「GPU」を利用したソフトウェア開発の分野で「敗北を期した」のは事実と云える。

試しに「ヤフオク」で「FirePro」、「Quadro」のキーワードで検索してみるといいだろう、如何に「実績のない、使われていないビデオカード」だということがはっきりするだろう。

ここで「AMD」は自社の開発コードに踏ん切りを付け、成功に向かっているMac OS Xの「OpenCL」に目を付け、対応カードを安くアップルに提供する方針を固め、一時期「NVIDIA」がアップルからはじき出されれ「アップル+AMD」の蜜月時代が長い間続いたことは以前にも書いた通りだ。

その後、何らかの合意があったのか「NVIDIA」も一部マックに復帰し、Mac Proユーザーには「GTXシリーズ」や「Quadroシリーズ」がオプションで準備され、プロフェッショナルなユーザーにもトータルなソリューションが帰って来た。

この理想的な環境に終止符を打ったのが、「Mac Pro 2013」で、ニュースに枯渇していたインターネットのメディアは、こぞってこの「黒いMac Pro」を絶賛し始めている。しかし「Mac Pro 2013」が、全く使えないことをカラーコレクション・ソフトウェア代名詞の「DaVinci Resolve」のMac版を出し続けている「Blackmagic Design」は「FAQ」の中で記述している。


DaVinci Resolve に関するよくある質問

シングルGPUにてDaVicni Resolveシステムを構築する場合、最も推奨されるGPUについて教えてください。

DaVinci Resovleソフトウェアは最新のCUDAテクノロジーを採用することで、リアルタイム・プロセッシングを可能としております。そのため、CUDAコアの数とVRAMがより多いGPUをご利用いただくことで高パフォーマンスを実現することができます。


ResolveソフトウェアはNVIDIAとAMD GPUのOpenCLテクノロジーにも対応しており、ご利用頂くことが可能です。製品としましては、高パフォーマンスを算出できる環境を推奨しておりますのでCUDAがデフォルトとなっております。シングルGPUによるシステム構成(弊社では“シェア(shared)”と呼んでおります)では、一つのGPUがイメージプロセッシングとGUI表示の両方で動作する必要があります。そのためシングルGPU構成をご検討頂くためには、処理速度が速いGPUを選択して頂く必要がございます。詳細については、Mac, Windows Resolveシステム構成のコンフィグレーションガイドをご参照ください。

この文章を翻訳すると

Mac Pro 2013のAMDのGPU(FirePro)でも、辛うじて動くがネイティブ・コードじゃないのので遅くなるからやめた方がいい。CUDAアクセラレーションが使えない以上、十分なスピードを期待できないので、いっそプラットホームをWindowsに乗り換えることを勧める

という結構どぎついことを記述しているのだ。


さらに続く・・・

DaVinci Resolve に関するよくある質問

Macシステムにて4Kビデオを取り扱うことは可能でしょうか?

DaVinci Resovleソフトウェアは最新のCUDAテクノロジーを採用することで、リアルタイム・プロセッシングを可能としております。そのため、CUDAコアの数とVRAMがより多いGPUをご利用いただくことで高パフォーマンスを実現することができます。


DaVinci Resolveソフトウェアは ”Resolution independent” テクノロジーを採用しており、ユーザー任意のビデオ解像度をご利用頂くことが可能です。ご利用のMacシステムが1つのGPUのみを実装している場合、リアルタイム処理はHDビデオまでとなります。
HD以上の解像度のビデオにて作業をされる場合、リアルタイムのパフォーマンスに影響する可能性が考えられますが、Cubix社エクスパンションボックスなどをご利用頂くことでGPUを追加することが可能であり、プロキシモードの使用や再生のレンダーキャッシュの設定を併用することで高解像度の映像をリアルタイムで再生することが可能となります。


つまり「4K」編集には、これだけ必要と云うことだ。

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!!!

ついでに「Avid社」の「 Media Composer 6」 の推奨ビデオカードも見てみよう。

Media Composer 6の認定システムおよび IO ハードウェア Mac

Media Composer 6の認定システムおよび IO ハードウェア Windows

ご多分にもれず、「MediaComposer」もWindowsで開発されMacに移植されている。「GPU」欄をご覧頂ければお分かりのように全てNVIDIAの「Quadro」で占められている。
一方、Macは動作確認が出来ている程度で、何のアドバンテージのない(特にAMDをズラッと並べている)。

お馬鹿なネットメディアは「Mac Pro 2013」で「DaVinci Resolve」が快適に使えそうだとか、エセ文化人まで準備してアップルの「かどわかし」にのって、購買を煽り立てている。

それをPR(かつては「広告特集」と呼ばれていた)と見抜けないユーザーは、まんまといち早く購入し、「アップルにセッティングされた条件下における快適さ」を個人のブログで自慢し始めているようだ。

しばし、私がブログの更新が出来なかったのは不気味な悪魔的黒い機械も、粉飾次第でここまでポジティブな表現が出来るのか、正直驚いてしまったからだ。

2 件のコメント

  • 始めまして。2014年2月7日のこちらの記事を読みメールさせてもらいました。
    お時間があるときにでも教えていただければ幸いです。
    私、Mac環境でCADやレンダリングソフト(CINEMA4D等)を使って設計デザインをしている者です。先日古いMacPro(2006)を処理し、iMac 5k(2014)を購入したのですが(高いおもちゃを買ったと反省しています・・)、レンダリングするとフリーズが頻発して困っておりました。その後色々と調べたのですが、どうもGPU(AMD)が原因のようだとの事でした。同じ環境のiMac(2012)を持っているのですがこちらはNIVIDIAで、全く問題がありません。
    そこで質問ですが、今のiMacを売り払って次のMacを買う場合、CAD・グラフィック使いにはやはりNIVIDIAが良いのでしょうか?現行のMac上位機種は全てAMDなので、やはりシルバーBOXの中古を買う方が良いのでしょうか?
    もし、中古のMacProの中でもおすすめタイプ(NIVIDIAの品番等)とかありましたら教えていただけますでしょうか?
    20年以上のMac使いですが、ハードは余り詳しくありません。
    将来的にはCINMA4Dでアニメーションもやろうと考えております。
    長文になりまして申し訳有りません。
    宜しくお願いいたします。

  • 今、売っているのでは、ME088LL/A (3.2 GHz), ME089LL/A (3.4 GHz)がいいんじゃないいでしょうか。
    質問ですが、iMac 5k(2014)は使い勝手は如何でしょうか?
    いずれにせよ、nVIDIA搭載のマックはちゃんとセッティングしなければ、全く意味がありません。アドビやBlackmagicで情報は公開されています。
    非常に非常に申し訳ないのですが、nVIDIAの正しい使い方に関しては、私から購入頂いた方への御礼として、公開してません。何とか頑張って調べて下さい。

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